書評『知の編集術』

知の編集術
インターネット上に情報が溢れてからというもの、多くの情報を浴びるように閲覧できるようになりました。

あまりに多くの情報が氾濫しているため、独自の尺度でそれを取捨選択して、世の中に発表する行為にも注目が集まっています。

最近ではこの作業が、美術館の展示会を開催するにあたって展示物を選択するキュレーターの仕事に似ているため、これを「キュレーション」と呼んでいるようです。

この作業に必要なことは、情報をいかに上手に編集し多くの人の関心を得るか、かと思われます。

私はこの作業について知識を得たいと思い、書籍『知の編集術』を手にしました。

この書籍は「編集工学」を提唱し、編集工学研究所の所長を務める松岡正剛氏が執筆した新書です。

『知の編集術』の目次
第1章 編集は誰にでもできる
第2章 編集は遊びから生まれる
第3章 要約編集と連想編集
第4章 編集技法のパレード
第5章 編集を彩る人々
第6章 編集指南・編集稽古

「編集」と聞けば、新聞や雑誌の編集が思い付く人も多いのではないかと思います。

しかし、「編集」とは何も書籍や文章の構成作業に限らないことがわかります。

「編集」とはあらゆる情報に対して行える作業なのです。

例えば、先に挙げたインターネットの「キュレーション」、法律やルールの作成、絵画や音楽などの芸術活動、さらには遊びの中にも「編集」は存在するとされています。

また、情報を集めた後に行うことだけが編集ではなく、即興で編集作業を行うことで、その職人の技を見せることもできる一面も持っています。

この『知の編集術』は、そんな「編集」のイメージを再構築し、様々な「編集」の姿を見せてくれる書籍でした。

本書の中には、「編集稽古」という簡単なチュートリアルも用意されています。

「編集」、はたまた松岡正剛氏の「編集工学」に興味のある方は、手に取って見ることをお勧めします。