書評『知的生活の方法』
インターネットやソフトウェアが生活に浸透する以前の社会に比べて、現在の社会は「情報」の価値が大きくなっています。
多くの職業が、「知識」や「情報」を蓄えたり、編集したり、使ったりすることで、その仕事を達成していると思われます。
ある特定分野の「知識」や「情報」を極め、その分野の第一人者・権威を目指そうと思うなら、それなりの心構えや方法が必要であろう、と私は常々考えていました。
私の読んだ書籍『知的生活の方法』は、大学教授という「知識」の権威である著者が、どのように「知識」と「情報」に向き合って、論文を書いたり、書籍を出版したりしているのか、ということを記した本です。
この書籍には、著者の「渡部昇一」氏が自ら体験し構築した「自分の」「知的生活の方法」のノウハウが、たくさん記されており、大変感銘を受ける本でした。
この本が最初に出版された1976年から長い年月が過ぎていますが、その姿勢や「知識」への向き合い方には考えさせられます。
『知的生活の方法』の目次
1. 自分をごまかさない精神
2. 古典をつくる
3. 本を買う意味
4. 知的空間と情報整理
5. 知的生活と時間
6. 知的生活の形而下学
まだ未知なる知識や理解不能な意見などに対して、「知らない」「わからない」と正直に言うことの大切さや、良質な書籍を何度も反復して読むの重要性など、知識に対する普段からの姿勢についても多く言及しています。
また、知識に向き合う心構えだけでなく、「知的生活」と本のタイトルにもあるように、「生活」に根付いたトピックも多く含まれている点が特徴的でした。
完全なる知的生活を目指そうと思えば、時間の使い方、知的空間の整備、毎日の生活リズムといった、様々な生活の場面が改善ポイントになることがよくわかりました。
この本を読むことで、理想的な「知的生活」がどんなものであるか、明確になったような気がします。
この本を読み終わって、知的空間整備のために卓上チェストと京大カードを購入してしまったほど、この本には随分影響されました。
自分の大切な本の一つとして大切にとっておき、何年後かにまた読み返したいと思います。