書評『ビジネスマンの父より息子への30通の手紙』

ビジネスマンの父より息子への30通の手紙

皆さんは、自分の父親から手紙をもらったことがあるでしょうか?

私が読んだ『ビジネスマンの父より息子への30通の手紙』という本は、実業界で確実なキャリアを築いてきた父親が、息子の成長の節目に書いた手紙を、そのままの内容で書籍化したものです。

この本で登場する息子は、大学進学に始まり、社会人デビューし、結婚をしたり、大きな仕事をするようになって、いずれは経営を任されるようになります。

その大切な場面において、父親はいつも適切に、そして強く強いることもなく、息子を正しい方向へと導いてくれます。

ここに本書の目次を記しておきますが、その項目の多くは、父親が経験した大きな問題や人生の意味を息子に託したい、という思いでつづられていることがわかります。

『ビジネスマンの父より息子への30通の手紙』の目次
実社会に出発する君へ
あえて挑戦を
教育の設計
成功について
惰性的な生き方には
実社会での最初の日々
誠実さの代価
「企業家」とは何か。
経験の重みに代えて
部下との衝突
共同事業への誘惑
結婚を気軽に考えないで
事業を拡大する上で重要なこと
金銭感覚はどうなっているのか
講演は自信を持って
礼儀正しさにまさる攻撃力はない
銀行融資をとりつけるには
政府の検査官について
多角経営は会社を安定させるか
読書の価値
効率的な管理とは何か?
人生の幸福とは
社員を解雇するとき
友情は手入れしよう
批判は効果的に
自分の財布の管理も計画的に
常に備えよ
ストレスと健康
優れた指導者の条件
生活のバランスを保とう
あとは君に任せる
訳者あとがき

「講演は自信を持って」や「礼儀正しさにまさる攻撃力はない」といったような、ビジネスにおいて、そして人として、大切なことについて触れているため、多くの人が呼んでも大変参考になるものばかりです。

私はたまに自分の父親に会うと、とりとめのない話が多いのですが、景気の悪い時期に限っては、会社・業界はどういう状況なのか、そういう悪い時期にはどうするべきかを、気遣って教えてくれることもありました。

自分の親や、自分よりも先に生まれた先輩たちには、私たちが持っていない「人生の経験」があります。

こういう「人生の経験」というものは、なかなか知識や書籍としてまとまっていないものですよね。

本書ではそういった「人生の経験」に基づいた助言が、とてもたくさん含まれています。

父親が自分の子供を愛するがゆえに語ることができる、人生のエッセンスを私たちも感じることができる書籍です。